夢への一歩。
グリコンのみんなはこれまた恒例になった遊楽木舎でピザをつくり、川で遊び、畑を手伝う。
特に珍しいことしてない。
毎年メンバーが微妙に変わり、毎年少し気持ちが違う。
私はいつも思う。みんなにとってこれは楽しいのかな?時々不安になる。
去年病気をされたWさんと矢野さんと、心に病を患った浪人生のA君は、畑と川には行かず母屋で休んでいた。
みんなが帰る一時間前、少し気になって私だけ早めに畑から上がり三人にお茶を煎れた。
するとA君が寄ってきて「こんなときに暗い話をするのも悪いのですが。。」と話しかけてきたのだ。
「ぼく90%、死にたいと考えているんです。毎日そればかり考えてしまう。自分に生きる価値を見出せない。以前から矢野先生に片品に行かないかと誘われていて、もし片品に来てほんの少しでも生きる価値を見出せたら、もう少し頑張ろうと思っていたんです。」
「それでどうだった?」っと矢野さん。
「やっぱりすごく素敵なところで旅行としてはすごく楽しかった。でもまた帰ったら元に戻ってしまう。。」
話を続けると彼はやはり成績優秀で優秀なことでしか自分を表現できない。成績が下がってしまった自分は認められない。友人関係もうまくいかないみたいで、信頼していたのに裏切られることもあって深く傷ついていた。
「昨日のミチコさんの話はすごく自分にもリンクした。みんな黙ってたけど、それぞれに感じることはあったと思う。でも。。」
彼を一生懸命フォーローして励ます矢野さん。
う〜。。。
「今日帰るの辞めてあと何泊か家に泊まりなよ!」
勝手に言葉が出てしまった。
片品には素敵な人がいっぱいいる。
まだまだ知らない世界がいっぱいあるのに決め付けてはもったいない!
笠松おじさんやしずあんねーや師匠や。。みんなに会わせたくなってしまった。
「10分考えさせてください。」
ちょうど畑からみんなが帰ってきた。
あ!肝心の私のパートナーに相談しないで決めてしまった。まずい。。私はいつもこうやって勝手に決めてしまう。
慌てて何も事情を知らないセトヤマさんに話した。
「彼をもう少し泊めてもいい?」
セトヤマさんは何も知らないはずなのに。。
「うん。いいんじゃない。」
「え?いいの??」
結局、お母さんに電話をしたら「もう一度出直しなさい。」とのことで。
A君はまた9月に来ることになった。
バス停まで送り、みんなとさよならした。
大学生のY君と浪人生のA君は9月にまた来るという。「では9月にまた来てね!」というと、不登校気味だという、I君が「あ、僕は9月は行けません。9月から学校に行きます!」って〜!!
矢野さん「じゃあ学校で会えるのね。」
別れ際、矢野さんは目をウルウルさせて言った。
「4年前から言ってた夢が少しづつ実現されたわ。ミチコさんには感謝してもしきれないわ。」
私もすごく感謝している。
心底、彼を救えたらと思って勝手に言葉がでた。そこまで人を思える自分になったことを。
自分勝手な判断を「いいよ」って言ってくれる理解あるパートナーがいることを。
そして傷ついた彼に紹介したいと思える素敵な人がまわりにいるってことを。
改めて気づかされました。