偉大なカヲル婆さん。
年末、最後の炭入れ替え。
最後に限って私は初めての経験をした。
窯を開けた瞬間、なんとなくメラメラしている。。
窯の一番奥に火が残っていたのだ。
きちんと消えていなかった。
何年かに一度はあるらしいが、私は初めて。
みんなで急いで炭をだした。
もちろん、火があったところ以外はいつも通り、固い炭ができていた。
こんな時、やはり師匠と、息子さんは慌てる。
しかし、奥さんのカヲルさんは実に冷静沈着。
だが、黙っているだけでない。
原因をきっちり把握し、注意することはビシッと言う。
最後に「誰のせいでもない、仕事をしている家族みんなの責任だ。まぁそんな時もある。」
カヲルさんは、ものすごく頭のいい婆ちゃん。
たぶん、今の時代ならバリバリのキャリアウーマンになっていただろう。
「表に立つのは一人でいい。夫婦二人で表に立ったらダメだ。」
という。
いつも「じいちゃんの好きなようにさせろ。」と師匠をたてる。
帰りには、来年の正月飾りをつくるように。と米粉をくれた。
妻であり、母親であり、仕事のパートナーとしてのカヲル婆さんから学ぶべきことがたくさんある。
しかし、カヲル婆さんの曲がった腰を私は直視できずに胸が熱くなる思いで家に帰った。